水を買わなきゃ
夕方に友人と待ち合わせて、大学のサークルに顔出しすることにした。
立場としてOBなので、急な手土産を持っていくべきであると考え、
ワインを一本持っていくことにした。
以前に残しておいたワインなので余り物という分類にはなるが言わなきゃわからんだろうし。
部室に向かうと、なんか特殊な雰囲気を感じる。
この時期はサークルに新入生が入り、あまり馴染まない人間関係があって、後輩は先輩に、先輩は後輩に気を使い合って懐に入るのを伺ってるようだった。
そんな中に知らないOB突然居座っていくのもなんだと思い
軽く挨拶して、そそくさと退室した。
ワインも渡し損ねた。
ロビーで友人と相談。
あの気色が悪い空間に入り込む方法を自然と会議する。
「全員にあだ名をつけて、それをプレートにして首からかけよう」
地味だから「学生」
裾上げが甘いから「スソ上げ」
ポロシャツ「ラガーマン」
オタクを隠したい女子「腐女子」
小さい「コロポックル」
一番馴染めてない「話しかけてください」
パソコンに詳しそう「マーク・ザッカーバーグ」・・・・
すべてのプレートを作り、部室に突撃。
無言でプレートを一人一人に掛けて退散。
ワインを渡して。
妙な満足感を友人と分かち合いながら、帰り道を歩き、友人と解散。
「またやろうぜ」
熱い友情である。
水を買い忘れた。